気密検査とC値
断熱性能と共にエコハウスで大切なのが気密性です。
気密検査は大きなバズーカのような装置(送風機)で室外に空気を排出して減圧し、
その時の風量と内外の差圧を測定して、その関係から隙間の大きさを測定しますが、
数値は「C値」という数字で表されます。
この「C値」は「値が小さい」ほど隙間が少なく、気密性が高くなります。
隙間がないということは、熱が家の外で逃げていきにくいので、
燃費の良いエコハウスということになります。
現在、日本には国の基準としてC値基準が設定されていません。
青森県では平成25年年度より、「あおもり方針住宅」として目指すべき住宅に求められる性能基準を定めました。
その中の基準にはC値2.0c㎡/㎡以下という数値があります。
C値2.0c㎡/㎡というと、ハガキ2枚分の隙間が住宅内にありますよ。ということになります。
しかし、この基準もかなり低いレベル設定ではないかと考えます。
大工さんが丁寧に施工し、しっかりと現場監理された住宅では、0.5c㎡/㎡以下の住宅もたくさん建設されています。
ゲンジアーキで設計した津軽のエコハウスのC値は0.3c㎡/㎡となっており、
かなり高性能な数値であることがわかります。
なぜ気密検査が必要なのか?
気密検査をすることによって、自分の家がどのくらいの隙間があるのか?
ということを数値で理解する事ができます。
私達は設計の際にソフトを使い、断熱材の厚みや性能から断熱性を計算する事ができます。
しかし実際に家を建てる際には、多くの職人さんが関わります。
人間が作っている以上、現場では、ソフトでした計算では管理できないわずかな狂いが当然でてきます。
小さなミスや狂いが積もっていくと、隙間の多い家が知らない間にできてしまうのです。
また、気密施工は大工さんの丁寧さが問われます。
大工さんは、検査があることで、検査に向けて少しでも良い数字を出そうと頑張ってくれます。
実際、良い数字がでた現場では大工さんも誇らしげに自慢してくれます。
そのように丁寧な仕事を積み重ねてもらう上でも検査というのは大切なのではないかと思います。
気密検査のタイミングは?
ベストは工事中と完成後の2回やりたい。
工事中の1回目のベストタイミングは「仕上げの石膏ボードを貼る前」です。
このタイミングで検査をするメリットは、是正工事が可能になるからです。
仕上げボードを貼る前なら、まだリカバリーが効きます。
完成後に検査してもし、思い通りの数値が出なかったとしたら、、
原因解明にも時間がかかりますし、是正工事が難しくなってしまいます。
飯豊型エコハウスの気密検査時の写真ですが、
この住宅の気密検査も「仕上げの石膏ボードを貼る前」に行いました!
良い気密シートの施工をしていると、検査中は室内が減圧されているため、
気密シートが引っ張られてパンパンに膨らんでいきます。
検査員さんいわく、このように気密シートが引っ張られるのは
「大工さんが上手に施工してくれた証拠」とのことでした。
そんな訳で「仕上げの石膏ボードを貼る前」の検査をおすすめしていますが、
このタイミングで検査をして、もし隙間があったとしたら、きっとどこかから空気が漏れています。
私の経験上、1度だけ、「測定不能」となった事があります。
周囲の環境で強風の場合は測定不能となることもありますが、
無風で検査をした際に「測定不能」となれば、間違いなくどこかに大きな隙間があり、そこから空気が漏れています。
この時は大工さんと部屋中を歩き回り、手をかざし、空気が漏れている箇所を探し出し是正工事を行いました。
仕上げの石膏ボードを貼った後に検査をすると、
どこから空気が漏れているかがわからなくなってしまいますし、是正が難しくなってしまいます。
石膏ボードを貼る前のタイミングがベストですが、大工さんにとっては、
このタイミングというのは非常に「嫌な」タイミングのようです。苦笑
「大工は勢いが大事なんだよ!こんなタイミングで作業止められたらたまったものじゃない!」
と怒られたことがあります。
しかし、重要な工程なので、怒られながらも大工さんには作業をストップしてもらったのでした。
そして2回目は「完成後」の検査です!
これは、1回目の検査後に、思わぬ工事中のミスで、気密シートに穴が開いてしまったりしていないか?
それによってC値が悪くなっていないか?を
確認するためにも行うのが理想です。
通常、問題なく工事が進んでいれば1回目の検査よりも良い数字が出てきます!
気密検査はオプションなのか?
気密検査は義務ではありません。
なので通常気密検査を施工者さんにお願いすると約3万円程度の費用がかかります。
一般的な工務店さんだと、見積もりに含まれておらず、
「検査をするならオプションです」という工務店もまだまだ多いようです。
これからの時代、このような工務店はどんどん取り残されていくと思います。
「気密施工ができ、検査もしっかりやっています!」
という工務店やハウスメーカーと一緒に家づくりをしなければ、住宅購入はとても危険だと考えます。
未だに、「高気密は息苦しい!家は少し寒いくらいが子どもも健康に育つ!」
という考えを持ったビルダーさんもいるようです。
家族みんなが健康に暮らすには、他の方法もあると思うのですが、、、
津軽のエコハウスの施工者さんである有限会社大平建設さんは
高断熱高気密住宅を手がけているビルダーさんなので、もちろん気密検査をしてくれました。
気密測定技能者の資格と装置を持っているようで、
社長自ら検査をしてくれました。頼もしいですね。