プランニングの考え方

雪国では一人1台の駐車スペースや雪溜め、雪を落とすスペースを設けるため、
建物は敷地の奥に配置され、街とのつながりが弱くなりがちです。
敷地に対して長屋のようなボリュームとし、町との関係性をとりつつ建物の内部では道路側にリビングなどパブリックの用途のある部屋、敷地奥にはプライベートな部屋とグラデーションのある空間配置としました。道路から最も離れた位置に寝室を配し冬季の深夜に行われる除雪作業の騒音と振動に配慮しました。また太陽の位置も考慮してなるべく室内に光が取り込めるようにボリューム配置を考慮しました。
長屋のようなボリュームの真ん中に別のボリュームとして仕事のスペースや趣味のスペースなど生活を豊にするボリュームを配置しました。このボリュームはパブリック・プライベートのどちらにも変化できる場となります。
屋根は無落雪とし、雪国ならではの除雪の手間をなるべく減らす計画としました。また通風、採光を考慮しながら窓位置を検討し住空間を良くするだけではなく、町とのつながりを持てる開口計画としました。また裏庭は家庭菜園をしたり、ドックランとなり家族の憩いの場となります。

性能について


津軽のエコハウスの性能は、
Q値(熱損失係数)=0.85W/(㎡・K)
UA値(外皮平均熱貫流率)=0.28W/(㎡・K)
C値(相当隙間面積)=0.3(c㎡/㎡)
平均日射熱取得率=暖房期ηAH:0.7 / 冷房期ηAC:0.9
となっており、HEAT20G2レベルのスペックを確保しています。

お施主様の要望、生活スタイルや日射、冬の除雪時の騒音、振動に対してどうつくるかを検討した際、T型のプランができあがりました。普通凹凸のあるプランは熱環境的には弱いとされていますが、温熱計算により、このプランでも私たちの求める温熱環境を成すことができることがわかりました。また、長方形のヴォリュームで主生活を完結させ、副次的な空間としてでっぱりとなっている空間を接続しました。

内部空間は特徴的なT型のプランを生かし、ずるずると空間が繋がります。空間が繋がっていることで家族の気配が感じられるような構成となっています。構造材は青森県産材を主とし、天井の羽目板には青森ひばを使っています。また、内部建具の取手には弘前の漆職人さんとコラボレーションをして制作をした、絶縁性、抗菌性に優れる「津軽塗の取手」を採用しています。高級感と青森の文化の香りがする空間を目指しました。
また、白い建物なため町並みに対して同じ高さだと大きく見える可能性がありました。そのため周辺の建物よりも高さを少し小さくすることで周辺住宅への配慮をし、青森の住宅街の風景を形成しています。
家族3人で暮らすための小さな家で、予算も限られていましたが、理想の温熱環境を確保することで快適な空間をつくりました。

断熱仕様屋根 :吹込み用セルローズファイバー400t(25kg/㎡)
外壁     :A種硬質ウレタンフォーム2種105t+高性能ウレタンボード30t
      :A種硬質ウレタンフォーム2種105t窓  
サッシ    :高性能樹脂サッシ(トリプルガラス)U値=1.0W/(㎡・K)
設備仕様暖房 :ルームエアコン冷房
       :ルームエアコン給湯
       :エコキュート換気
       :第一種熱交換型換気装置照明
       :LED

建築工事費  :19,000,000円
補助金    :-1,500,000円

約17,500,000円+設計監理料(→こちらをご確認ください)


補助金をうまく活用しながらですが、坪単価は約70万円程(旧母屋の解体費、設計監理料を除く)でこのような高い温熱環境を実現できました。金額は参考になりますので、建材の高騰等により価格は変動します。

※3者程度工務店見積もりにより、施工者を決めています。※補助金は活用できない場合もあります。

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